BOSS DS-1のKeeley Mod 自作

ご注意!…WIMAのボックスコンデンサを使用した改造品や、改造キットが出回っている様ですが、WIMAの特性はhi-fi過ぎて、実機とはかけ離れた音になってしまいます。
具体的には、実機より低域が不足し、高域が前面に出てしまい、深みと太さが劣ります。


【Keeley Mod】は、DS-1のキャラをいかしつつ、音を太く&低音の量感を増し、耳に突き刺さる様な超高域を削り、更に抜け/分離を向上させる事で、高品位でバランスの良い歪みサウンドを実現していると思われます。
また、オリジナルでは出しにくかったクランチ音をキレイに出せる等、使えるサウンド・バリエーションの拡大も狙っていると思われます。

最終型のKeeley ModではSeeing EyeモードとUltraモードの2つのサウンドをトグルスイッチで切り替えられる様になっていますが、当初のKeeley ModではSeeing Eyeモードのみが実装されていました。
Seeing Eye ModはクリッピングがBossのON/OFF表示用LEDと、元々ついているダイオードを1個を使った非対称度の高いクリッピングが特徴です。
非対称度が高いと、理由は不明(倍音構成の影響?)ですが、明るく軽快感のある歪み音になる傾向があります。
非対称性が少ないUltra Mod(ウォームでダーク)と比較すると、この感じがつかめると思います。

【回路図】改造部以外はボカシをかけています
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Thank Phillip Bryant-san for the excellent DS-1 Keeley Mod schematic!
Please allow me to edit and use the schematic.

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【理想的な使用パーツ】←キーリー本家(後続ブログに和訳で紹介)を含む多数のサイトと複数のMODキット商品を調べてたどり着いた組合せです。
 理想的なパーツリストを下に示します。
a 0.1uF パナソニックECQ-V x 5個※3
b 1uF パナソニックECQ-V x 4個※4
c 0.047uF パナソニックECQ-V x 1個※5
d 3mm 赤色LED x 2個
e 3P on-on トグルスイッチ
f 2.4k XICON金属皮膜抵抗 x 1個
  (XICONでなくてもOK。1.2k×2個を直列にするのでもOK)
g 20k XICON金属皮膜抵抗 x 1個
  (XICONでなくてもOK。10k×2個を直列にするのでもOK)
h 1.5k XICON金属皮膜抵抗 x 1個
i 220pf J-K級シルバーマイカ x 1個(セラミックでも聴感上の差はない。…というか、本物のSeeing Eye Modを買ったら、セラコンでしたw)
j 47pf J-K級シルバーマイカ x 1個(同上)

【スクリーニングについて】コンデンサ容量の精度がJ級より悪い場合
※3、テスタで容量を計り、一番精度の良いものをC12に使用。
※4、テスタで容量を計り、一番精度の良いものをC8に使用。
※5、出来れば4〜5個購入し一番精度の良いものを利用。

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上は改造に必要なパーツ(線材、SWも含む)

【次善パーツリスト】
 ECQ-Vの入手が難しい場合の次善のパーツリストを下に示します。
 行の左端に*印を付けた所が見直し部分です。
*a 0.1uF Rubycon F2D J級 x 5個
*b 1uF ニチコンMUSE-BP x 3個…ヌケ不足を補う為、0.047uFを並列に取付け使用
*b' 1uF WIMA MKS2 J級x 1個
*c 0.047uF Rubycon F2D J級 x 4個
d 3mm 赤色LED x 2個
e 3P on/on トグルスイッチ
*f 1.2k KAMAYAカーボン・コンポジット x 2個…WIMAの平板な音を太く補正する為に使用
  (1.2k×2個を直列接続し使用する)
g 20k XICON金属皮膜抵抗 x 1個
  (XICONでなくてもOK。10k×2個を直列にするのでもOK)
h 1.5k XICON金属皮膜抵抗 x 1個
i 220pf J級シルバーマイカ x 1(セラミックで十分!)
j 47pf J級シルバーマイカ x 1個(同上)


【改造方法(その1)】下のパーツを取り外します。
(回路図中の赤色部分は、部品交換が必要な所を示します)

Step1: C1, C3, C5, C12, C13
Step2: C2, C8, C9, C14
Step3: C11, R13, R14, R39, C7, D5

【改造方法(その2)】下のパーツを取り付けます
Step A: 2.4kの抵抗をR13に取り付ける
Step B: 20k の抵抗をR39に取り付ける
Step C: 1.5kの抵抗をR14に取り付ける
Step D: C1, C3, C5, C12, C13に0.1uFのコンデンサを取り付ける
 (スクリーニングを行った場合はC12に一番精度の良いものを取り付ける)
Step E: C2, C8, C9, C14に1uFのコンデンサを取り付ける
 (スクリーニングを行った場合はC8に一番精度の良いものを取り付ける)
Step F: C11に0.047uFのコンデンサを取り付ける
Step G: C7に220pFのコンデンサを取り付ける
 (サイズが大きいため、可変抵抗とぶつからない様に要注意)
Step H: D4/D5と並列に47pFのコンデンサを取り付ける
 (R16とR17のDCジャックより遠い側の端に47pFの足を片方づつ
  取り付けると製作し易いでしょう。D4/D5周囲は狭いため)
STEP I: D5にLEDを取り付ける※6
STEP J: D4を一旦はずし、D4とLEDに直列にしたものを取り付ける(下図参照)※7
STEP K: トグルスイッチの配線を行う※8

※6、エフェクタの外側からLEDの点灯状況を見れる純正改造の外観はかっこ
  いいですが、信頼性と改造のし易さを重視するなら、D5の位置にLED
  をじかに取り付けるのがベターと思います。
  外側から見える様にするならば、トグルスイッチの端子にLEDの片端を半田付け
  すれば、組立が容易になります。
※7、D4の極性に注意すれば、D4は片端のみを外せばOK
※8、【下図参照】回路図とは違いますが、万一スイッチがON故障(ないしOFF故障)してしまって
   も歪み音を得られる様に配慮した配線方法です。
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【改造方法(その2‘)】代替パーツ利用する場合は下のステップで取り付けます
Step A: 1.2kの抵抗2個を直列にしたものをR13に取り付ける
Step B: 20k の抵抗をR39に取り付ける
Step C: 1.5kの抵抗をR14に取り付ける
Step D: C1, C3, C5, C12, C13に0.1uFのコンデンサを取り付ける
Step E: C2, C9, C14に1uFのMuse-BPと0.047uFを並列にしたものを取り付ける。またC8に1uFのWIMAを取り付ける。
 (Muse BPの極性(足が短い方がマイナス)は、元々の電解コンデンサと合わせるのがベター。但し、双極性なので、逆付けしても問題はない。)
Step F: C11に0.047uFのコンデンサを取り付ける
Step G: C7に220pFのコンデンサを取り付ける
Step H: D4/D5と並列に47pFのコンデンサを取り付ける
STEP I: D5を外しLEDを取り付ける
STEP J: D4を一旦はずし、D4とLEDに直列にしたものを取り付ける
STEP K: トグルスイッチの配線を行う

 改造後の例の写真を下に示します。
(信頼性を考慮しサウンドに係る半田付けにはケスターを使用。また、追加配線にはベルデンを使用。)

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【補足…上の写真を撮った後、オペアンプを DS-1 40th Anniversary Model で使用されたNJM3404に交換しました。NJM3404は現行機搭載のNJM2904の改良版。よりハイファイ・ローノイズで、低域がゆたかで、スムーズなサウンドが得られると米国自作Webで好評でオススメ】

 マイカのサイズが大きいため、ポットと干渉しない様に横に寝かして取付けてみました。
 半田部に不要な力がかかるのは良くないため、マイカは、良く使われる黄色い万能接着在で基板に固定してあります。
 出力ジャックはカチッとハマる感じがイマイチでしたので、この機会にスイッチ・クラフト・タイプのものに交換してみました。
 D4,D5のあたりが込み合ってますが、D5にはOn/Offインジケータから外したLEDを取り付けています。(←これが定番の製作方法らしい)
 また、D4部の作り込み方を下の写真に示します。

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 写真では見にくいのですが、ポイントは2端子分のPIN(D4と半田付けする側の足はカット)を利用している所でしょうか。2本の端子をまたぐ様に赤色LEDは半田付けしています。(2本のPINをシュートさせれば赤色LEDが効かなくなりSeeing Eye Modモードとなります)
 ちなみに私が改造したDS-1のD4,D5には1N4148が使用されていました。

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 On/OffのLEDは輝度が高めで視認性の良い黄色(オレンジ色っぽい?)を使ってみました。多くの自作例でΦ5mmの黄色のLEDが使われていましたので、それを少し真似してみましたw 
 トグルスイッチは、上に倒すとSeeing Eyeモード(歪みやすい)。で下に倒すとUltraモードに切り替わります。

 サウンドサンプルはYoutubeに多数アップされていますので、参考になるかと思います。

【雑感】
 何故かDS-1はギターを初めてこれまで、触手が動かず使った事がありませんでした。
(私は古いRAT派なもんで…)
 今回DS-1のサウンドを試し、ディストーションとしては無難な使いやすいペダルという事が理解できました。ピッキングの強さに多少のブレがあっても、比較的均一な音が出ますので、上手く?聞かせる効果があると感じました(笑)
 ミッドレンジが暑苦しくなく、JC-120のプレゼンス・ノブを少し上げた時の様なバンド・アンサンブルの中で埋もれにくい、どちらかというと硬質な印象のサウンドで、ハムバッキング搭載ギター(のブリッジ側PU)に合うと思いました。
 ゲイン・ノブ最小でもある程度歪んでいるため、ギターをノブを絞り込まねばクランチ音は出ず、無理に出してみても使えるサウンドではありませんでした。(クランチ音が注目される前の設計ですのでこれは仕方ないですね)
 また、好みの問題かと思いますが、私はオリジナルのDS-1のサウンドでは、弾き続けたくなる様な気持ち良さを感じる事ができませんでした。
 興味深いのはトーン・ノブで、これは単に高音の出具合を調整するタイプのものではなく、積極的に音色に変化を与えている様に感じました。ちなみに、高音がきつくなりすぎるためトーン・ノブは途中迄しか開けられませんでした。

一方、Keeley ModのSeeing Eye Modのサウンドは、実戦で使えるクランチ音が出せ好印象でした。
(オリジナルDS-1よりゲインが高く、ゲイン最小でも歪んでいるので、ギター側のvolは絞る)
 また、歪みの深さを変えても、ブリッジ側PU・ネック側PUそれぞれの個性をいかした音創りがしやすい点も素晴らしいと思いました。オリジナルDS-1で感じた線の細さも解消されています。
 Ultra Modは、歪みのキメの細かいSeeing Eyeと比較すると、太くてウォーム、そしてダークな印象の歪み音を得る事ができます。更に、同じ音量でも音圧高めと感じました。
 総じて、MODによってサウンドの品位がブティックペダル並みに向上しているというのが私の感想です。なお、バイパス音品質もMODで向上する事を申し添えておきます。

 Modの回路についていうと、R13=4.7k→2.4k(約半分)、C8=0.47uF→1uF(大体2倍)とする部分は定番的なアプローチですが、このMODだけでもサウンドの雰囲気が大きく変わるハズです。
 ザックリとした計算だとR13×C8の値のルートに比例し、低音側のカットオフ周波数が決まりますので、カットオフ周波数(DS-1らしさ?)を変えずにゲインを増し、低音側の量感を増す効果が得られます。
 類似例を挙げると、Landgraff Dynamic Overdrive (DOD) はTS-9に対して同様のアプローチをとっていて、TS-9が4.7k・0.047uFの組合せである所を、DODでは1k・0.22uFの組合せに見直されていて、積の値が両者ともに0.22程度となっています。
 蛇足ですが、DODと旧RATは出音の帯域が似ています。(但し、DODの方がブーミー)更に蛇足ですが、BOSS OD-1とSweet Honey Overdriveも出音の帯域が似た系統です。(但し、これらは低音がRATより薄いです)

 Modでコダワリを特に感じるのはクリッピング素子と並列に取り付ける「47pFのマイカ」です。
DS-1オリジナルでは、既にクリッピング素子と並列にC10=0.01uFのフィルムコンデンサが取り付けられているのですが、それと並列に更に「47pFのマイカ」を追加している部分については、不必要なハイを徹底的に削るという考え方が強く表れていると感じます。(確かにフィルムコンデンサではハイの伸びが足らず、超高音を取り除く事ができないのですが…)

 Tone回路の定数変更は、回路の周波数特性の計算をしていないため、設計意図は良く分かりませんが、オリジナルDS-1よりもKeeley Modの方が、より広いトーン・ツマミの範囲で、使えるサウンドが得られる様に感じます。

2018年8月吉日
PS 改造は自己責任にて何卒宜しくお願い致しますm(_ _)m